住職レター 令和3年9月号

 9月になると朝晩が随分と涼しくなって、彼岸が近いことを感じさせてくれます。秋のお彼岸も、お盆経同様、大半の壇信徒さまがお寺での住職による読み込みを希望されました。またしても岡山県下に緊急事態宣言が出され、解除された後も9月末まで倉敷市は、まん延防止等重点措置対象地域でしたので、それも無理のないことです。しかし、お盆と違ったのは、彼岸の入りから晴天続きだったことで、連日お墓参りなどで、お寺を訪ねてこられる方がたくさんおられました。去年よりも10日も早い中秋の名月も、雲に隠れたり出てきたりしながら美しい姿を見せてくれました。
 人との交流は制限されても、ご先祖さまとの交流には制限がありません。パンデミックになろうとも、自然災害にみまわれても、祈りの心がある場所に故人様はいらっしゃいます。お墓に、仏壇に手を合わせて祈りましょう。
 仏壇での彼岸経をご希望されたお宅へのお参りをすべて終わらせ、お彼岸の最終日に、高校生の二男と共に彼岸会法要と各家のご先祖の読みこみをいたしました。長い間お会いできていない壇信徒さまのお顔を思い浮かべながら心をこめてつとめさせていただきました。
 9月中は、関東をはじめ未だ緊急事態宣言下であった地域も多くありました。県をまたいだ移動が難しかったため、帰省を諦めてご法事をオンラインでされた方もいらっしゃいました。無料通話アプリのラインビデオを使った方法で、ビデオ通話にしたままで、法事の様子を撮影しました。心配していた音声の途切れなども気にならなかったようで何よりでした。現在の様な感染症が気になる時代に、移動の必要がないのと、何より操作が簡単ですので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせ下さい。コロナの流行が収まっても、例えば身体の不具合等で移動が難しい方でも参加できる方法としてオンライン法事は生き残っていくのではないか?と思っています。その時代に即した供養の方法を考えて行きたいものです。
 とは言え、お寺というものは、ただ建っているだけでは大きな入れ物に過ぎず、人が集い地域に根ざしてこそ呼吸を始めるものだと思っています。子どもが走りまわり、大人が手をあわせて、観音さまが優しく微笑む……。人々の安らぎとなる、そんなお寺であるよう努力してまいります。







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