住職レター 令和3年2月号

 この時期は、いつも同じことを言っている気がしますが、令和3年も2月が終わろうとしています。本当に時間が過ぎるのが年々早く感じます。コロナに翻弄される日々も2年目に入りましたが、以前の生活は取り戻せていません。初期の頃には、正直、対岸の火事の様に感じていました。しかし、二度の緊急事態が宣言されて、第二波、第三波とだんだん波が大きくなり、どこまでも増え続ける感染者数に一喜一憂する日々を超え、今は少しだけ減少傾向に安堵している日々です。私の住む岡山県でも115日ぶりに感染者なしと伝えられ、喜ぶとともに、いや、だからこそ気を緩めてはいけないと感じています。
 今年に入り、再開した写経の会でも感染対策をお願いしています。密を避けるために人数制限を設けて、手指の消毒やマスク着用にご協力いただき、寒くても換気をしながら書いてもらっています。二月の写経会では涅槃会法要も行いました。お釈迦さまのご命日(二月十五日)に、お釈迦さまの最期のご様子を描いた「涅槃図」をかけて、そのご遺徳をしのぶ法要です。人びとに教えを説く旅を続けられたお釈迦さまが、クシナガラという場所で最期を迎えられました。涅槃図には、お釈迦様の死を嘆き悲しむ弟子たちや、薬をお届けになったお母様の摩耶夫人、あらゆる動物や生き物が泣いている様子が描かれています。しかし、お釈迦さまは弟子たちに「私の亡きあとは、自分自身をより所として、私が伝えた教えを、闇を照らすともしびとして、歩んでゆきなさい。もろもろの存在は変わりゆく。怠らず精進しなさい。」という言葉を残していかれました。今は、コロナ禍という、今までに経験したことのない辛い時代になっています。しかし、お釈迦さまのお言葉には、そんな時代を生きるための教えがあると思うのです。誰もが心の余裕を失い、ともすれば誰かに責任を負わせようとしたり、他人を傷つけてしまいかねない時、自分自身をより所にして、闇を照らすともしびを灯しながら歩んでまいりましょう。そして「もろもろの存在は変わりゆく」こと、良いことも悪いことも永遠には続かないという事を心に刻み、どんな時も平常心で、怠けることなく、自分がすべきことをしましょう。どんなに時代が代わって行こうとも、お釈迦さまのお教えは古くなることはありません。そんな教えに巡りあえたことを幸せに思い日々精進したいと思います。 毎年恒例のおひな飾りもお彼岸ころまでは飾っています。境内では、梅や椿が見頃です。お墓参りのついでにでも、どうぞ見て行って下さい。








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