住職レター 令和3年1月号

 また新しい年が巡ってきました。三寒四温の言葉の通り、珍しく雪が降ったと思えば、春を思わせるような陽気の日を繰り返しながらも、少しづつ花が芽吹き始めています。
 昨年はコロナ禍で日常がすっかり変わってしまいました。合いたい人にも会えず、行きたいところにも行けず、人目を気にしながら生きてきた方が大半だと思います。世界では、ワクチンの接種も始まりましたが、日本は二度目の緊急事態宣言下で、まだまだ気の抜けない日々が続いています。人の楽しみは不要不急だらけですので、こんな日々が1年近く続いているのに、よく我慢しているものだと思います。少し耐性がついてきて、ステイホームの楽しみ方が上手になっているのかも知れません。田舎暮らしの私の場合、自然と共存しております。それはそれで大変なことも多いですが、土や植物に触れることが癒やしになっているのかも知れません。
 寺では、お参りの方こそないものの、年末年始の行事は例年とおり行いました。除夜の鐘と大般若祈祷は住職と弟子たちのみでいたしました。家人の手作りのマスクを、大般若札と一緒に年始から三日間ご祈祷する「三朝祈祷」を終えたのち、各家に配らせていただきました。昨年の春彼岸、盆、秋彼岸の棚経では、接触を避けるため、多くの方が、お寺で住職が読み込みをすることを希望されたので、玄関先でのご挨拶のみとは言え、一年ぶりにお顔を見ることができて、非常に嬉しく思いました。今は、オンラインやリモート、紙上での連絡などが主流になっていて、それはもちろん感染症予防の観点からも必要なことですが、マスク着用とはいえ直接顔を見て話しが出来るのは、とてもありがたいことだと改めて気づきました。 新年からは、坐禅と写経も再開しました。第二、第四月曜日の写経会は、マスク着用、手指消毒、換気を徹底した上で、人数制限を設けています。会員さま以外の体験写経は別の日にお受け致します。精進料理はまだ再開しておりません。 坐禅ご希望の方も坐禅堂ではなく、本堂を使っていただき、茶話会は中止といたします。
 寺を使っての法事も、なるべく少人数での参加をお願いしています。年明け早々、先住忌、先寺族忌を行いましたが、数名の参加で、県外の身内はリモートで参加しました。また精進落としの会食は取りやめ、各家でお弁当をいただきました。それでも工夫して、子どもたち全員で供養をすることができました。初詣も人出がまばらな年末のうちに、ゆっくり早参りを済ませました。大晦日を家族でのんびり過ごしたことも初めてで、悪いことばかりでもない年末年始でした。








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