住職レター 令和2年12月号

 12月の第一月曜日、例年通りに写経供養とお焚き上げの法要を行いました。とは言え、寒波が来ると同時に、岡山県下でも昨今、新型コロナウィルスの感染者が急激に増えてまいりました。会員さま方にはマスクの着用と、本堂にお入りになる際の手指の消毒をお願いして、しっかりとソーシャルディスタンスを取っての法要となりました。また、飛沫感染を防ぐために、茶話会はとりやめ、法要後の料理も持ち帰りのお弁当を作り、お家で召し上がっていただくことにしました。
 今年はこの未知の感染症の流行の対応に明け暮れた一年でした。写経の会も、3月からずっとお休みをしておりましたので、久しぶりの対面でしたが、会員さま全員が参加され、お互いの無事を喜び合っておられました。来年からは、写経の会自体は再開の予定ですが、写経の後の精進料理はまだしばらくお休みします。ワクチンや薬が確立して、安全と言える日までは、この状態で続けてみたいと思います。新規の方、体験の方は当分、お受けしない予定です。
 また、同じく3月からお休みしていた坐禅の会は、密を避けるために狭い坐禅堂ではなく、本堂で始めたいと思っております。こちらも坐禅の後の茶話会はいたしません。
 また、どちらもこれからの地域の感染状況も見て、あまりにも酷くなるようでしたら、再開を見合わせるつもりですので、どうぞご了承下さい。 ところで、寺の駐車場に「タラヨウ」という木があります。
 この木の葉は、とがった棒状の物で文字や絵を描くと、黒くなり、葉が枯れても模様が長く残ります。そのため昔は貴重な紙や墨の代わりにこの葉をメモ代わりにしていたということです。このことがハガキの語源となり、「郵便局の木」とも言われ、全国各地の郵便局にたくさん植えられています。実際切手を貼って定形外郵便として郵送することも可能です。
 また、葉の裏面に経文を書いたり、葉をあぶって占いに使用したりしたため、寺社にも多く植えられています。弘法大師がこれを用いて字の勉強をした「学問の木」とも呼ばれています。インドでは経文を書くのに、ヤシ科のタラジュ(多羅樹)という木が使われていました。その木に似ているので、タラヨウ(多羅葉)という名前の由来となっているそうです。
 塞ぎこむような話題ばかりで気が滅入る年の瀬です。我が家の子どもたちや孫も盆、彼岸に続いて、年末年始も帰省を諦めました。寂しいお正月を迎えられる方も多いことでしょう。それでも何とか日々の暮らしに楽しみを見つけ、そこにある幸せに感謝しながら、新しい年を迎えましょう。








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