住職レター 令和2年11月号

 海徳寺山門の両側には、檀信徒様のご寄進により、設置された対のダルマさんがおられます。この度、寺からほど近い「看板イケハラ」様に依頼して、だるま参りの案内板を設置することができました。その全文を紹介いたします。
だるま参り
 山門東西のダルマの石像は「七転び八起き」に起因しており、参拝した皆さまの幸福を願うものです。向かって右側にある口を閉じている七のダルマは「七転び」からきており、皆さまの日常における苦、不幸、不運など自信から捨て去りたい事柄を、頭をさすることで飲み込んでもらいます。右側にある口を開けている八のダルマは「八起き」からきており、皆さまの願いとして楽、福楽、幸運など身につけたい事柄を頭をさすることで与えてもらいます。
 また、海徳寺の山号「馬乗山」は騎馬を上手に乗りこなすという願いから来ており参拝者の皆さまの安全運転や交通安全、そして日常の中にある様々な事故から守って下さいます。
 山門を潜る前に「苦」を落としてお参りして頂き、帰る時には「楽」を頂いてお帰り下さい。
 参拝者の皆様の今後が馬くいく様に御祈念いたします。


 なお、追記しますと、対のダルマさんがそれぞれ口を閉じているのと、開けているのは、しかめ面と笑顔を表していると同時に「あ・うん(阿吽)」を表しています。神社の狛犬や仁王様(金剛力士像)、沖縄のシーサーなども、この口の形をしていますが、「あ・うん」とは、万物の始まりと終わりを象徴するもので、菩提心と涅槃を表すと言われます。コロナ禍で、今年はダルマ様たちも啓発活動としてマスクを着用しておりますので、口元が見えないのですが、マスクの下にはこういう表情があるのです。
 数々の行事が中止となり、寺を訪れる人も少なく寂しい毎日ですが、季節は巡っていて、紅葉や銀杏が境内を彩り、晩秋の花が咲き、落ち葉を片付ける日々です。気づけば今年もあとわずかになりました。耐える日々がいつまで続くのか不安にもなりますが、やがて冬が来て、新しい年が巡ってきます。
 曹洞宗では、開祖道元禅師さまの教えのとおり、毎日の生活の中の行い一つひとつを坐禅と同じ心でつとめ、それを実践し続けることこそが修行と考えます。自分のなすべきことを、日々精一杯つとめることこそが、コロナ禍の時代であっても揺るぎない軸になると信じて精進いたしましょう。







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