住職レター 令和元年7月号

布教師養成所で共に学んだ仲間たちで、毎年七月に研修をする「七夕会」に本年も参加して参りました。
 当番会員が研修テーマを決め、その内容に沿った研修地を訪れる旅程です。今回の研修地は静岡で、研修テーマは「正法眼蔵山水経に学ぶ」でした。山開きしたばかりの富士登山も前日に計画して頂きましたが梅雨がまともにぶつかったため、残念ながら延期となりました。
 一日目は九時に三島駅に集合、散策と昼食を終えた後、伊豆にある修禅寺に向かいました。修禅寺様ではお弟子の方々が他出していた為、ご住職様自らにお世話をして頂き更に、九十分間の「山水経」の提唱もして頂きました。今回は参加人数が例年より少なく八名だったのですが、少人数の良さで、間近でご住職のお人柄を感じながらの学びでした。修禅寺様ではウサギの里親 探しをしておられ、廊下の衝立の裏にゲージがびっしり並んでいました。ゲージの隙間から指を入れて触ろうとすると、自ら寄ってきて頭や体を触らせてくれます。三十羽ものウサギへの餌やりや掃除は大変な事でしょうが、匂う事も暴れることもなく、愛情込めて世話をしていることがうかがえます。そんなところにも、ご住職の人となりを感じる事が出来ました。
 夜は近くの修善寺温泉で宿泊し早めに就寝して、二日目は四時半に起床、坐禅と朝課に参加させていただきました。前日の雨も上がり朝霧の中での坐禅は修行時代を彷彿とさせました。自坊での座禅会は朝明るくなってから始まりますし、晴れの日が多いのですが、修行中は山奥の日照時間の少ない道場で、暗いうちから座っていたことを懐かしく思い出しました。後日になりますが、その修行道場を訪れることになり、やはり雨上がりの薄暗い坐禅堂を覘いてまいりました。
 研修ではその後、袋井市にある宗門道場の可睡斎で精進料理を頂き、最後に訪れた愛知県の御寺院様で「山水経」の御真筆を拝見させて頂きました。
 伊豆の山中で山水経を体で感じ、最後にその「山水経」を直に拝見するという、短い中にもテーマに沿った意義深い研修をさせていただきました。まだまだ自分の見識の狭さ、勉強不足を痛感されられました。そしてその事に気づかせてくれるこの研修会の有り難さに深謝いたします。








前号住職レター一覧次号