住職レター 令和元年6月号

 庭に蓮鉢を置いて、蓮を育て初めてから10年程経ちました。肥料には煮干しが良いと聞けば泥に埋め混んだり、だんだん増えてきて狭くなったので、大きめの蓮鉢を埋めて、柵で囲んだ即席の蓮池を作ったりして、毎年夏にキレイなピンクの花を咲かせるのを心待ちにしていました。
 それなのに今年はどうやら株分けをするのが早すぎたらしくて、暖かくなっても芽を出してきません。これはもう枯れたのだろうとがっかりしたのですが、代わりに、去年の実を水栽培にしていたものが育っていました。 「憂いあれば喜びあり」とは世のならいですが、10年育てた蓮が枯れるのと時を同じくして、新しい芽が育つというのも不思議な巡り合わせです。
 去年の種を採っておいて、3月に、刃物で傷をつけて水に入れ、暖かい部屋の窓ぎわに置いてから1週間ほどで、小さい芽が顔を出しました。毎日水を替え、楽しみに成長を眺めていると、だんだんと芽が伸び、根を生やし、小さいけれどもちゃんと蓮の形をした葉をつけました。全部で8個の蓮の苗が出来ました。
 5月になったら、戸外に出し泥に植えました。ぐんぐんと成長を続けて、蓮鉢では窮屈になり、思い切って半分蓮池に移動したのですが、伸び伸びとして、まだまだ大きくなっています。
 蓮池にいたメダカに加え、写経会の会員さんが持ってきて下さったメダカたちも産卵して、眼をこらさないと見えないような小メダカがウジャウジャ生まれて、ずいぶんと賑やかになってきました。今年はまだ花を咲かせるのは無理かもしれませんが、来年に向けて新しい楽しみができました。
 一雨毎に紫陽花は元気になり、今年もたくさんの花を咲かせています。畑の作物も雑草もすくすく育っています。雨が降ると、今でもまだ昨年の豪雨災害を思い出して暗い気持ちになることもありますが、天の恵みに感謝して、自然と共存させていただきましょう。








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