住職レター 令和元年5月号

 仏像彫刻を初めて今年で9年目です。とは言え、壇務の間に山内の整備や畑仕事などをして、さらに空き時間で彫っているので、カタツムリの様なスピードですが、それでもこれまでに数作品が出来上がってきました。
 令和になってすぐの週末、岡山市の景福寺様で、晋山結制が執り行われました。晋山式とは、山に晋む(すすむ)と書き、「山」というのはお寺のこと、お寺に入る=正式に住職の座に就くお披露目の式です。
 結制は、結成安居のことで、多くの修行僧が集結して、お釈迦様の定められた制度に従って九十日間の修行をする事の意味です。多くのお寺で晋山式と結成安居はまとめて行われます。
 3年前、新見の円福寺様の晋山結制で、私の息子たちが「首座」と「弁事」という大役をつとめさせていただいたことがありますが、この度はその配役を新命和尚様のご子息二人がつとめられました。息子たちの時も、親の方が、気が気ではなく随分とハラハラさせられましたが、一生一度の大舞台を迎える新命和尚様は、息子たちのことも気になって、どんなに大変だっただろうか、想像に難くありません。最初の顔合わせでは、不安げだった二人も、練習を重ねる度に目を見張る成長を見せ、当日は本当に立派につとめられました。親子の心に刻まれる素晴らしい経験だったのではないでしょうか。
 晋山結制の入寺式では聖僧文殊菩薩様が新命和尚を迎えます。この度、その聖僧文殊菩薩像を彫らせて頂きました。依頼されたのは2年前で、まさにギリギリ間に合わせることが出来ました。こんな大事な式に自分の作品を使っていただけるなど、本当に光栄なことでした。これからも、ゆっくりではありますが、少しずつ彫っていきたいと思っております。








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