住職レター H25年9月号

 近年の異常気象で植物の生態系も危うくなっておりますが、今年も彼岸の入りに合わせるかのように、彼岸花が咲きました。桜前線や紅葉前線のように南から順に花をつけるのではなく、全国ほぼ一斉に彼岸の頃咲きほこるという、何とも不思議な花です。
 彼岸花は曼珠沙華とも呼ばれ、サンスクリット語のマンジューシャカ(manjusyaka)が語源です。仏教でいう曼珠沙華は「天上に咲く白くやわらかな花」であり、下界へ意のままに雨のように降らせることから如意花ともよばれ、その純白の花を見る者は黒い悪業を離れるといわれます。一般的な赤い彼岸花ではイメージが合いませんが、白い彼岸花なのでしょうか?
 お彼岸が近くなると急に芽を出し、あっと言う間にぐんぐん茎をのばし、花をつけ、彼岸の明けに合わせるかのように枯れてしまいます。「再会」や、「また会う日を楽しみに」「いつかまた会えますように」などの花言葉からもこの花を「彼岸花」と名付けた先人の思いが伝わる様な気がします。

― 亡き母の 丹精こめし 曼珠沙華 
   彼岸の頃に 我に会いに来る ―





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