会津張子のおひなさま

住職レター H25年2月号

 2月下旬の吉日、今年も玄関にたくさんのおひなさまが並べられました。毎年の恒例行事となっておりますので、楽しみにして下さる方も増えて嬉しい限りです。
 和紙工芸をされる婦人会員の方も毎年新しい作品を持ってきて下さいます。今年はそれは立派な立ち雛を頂きました。それに福島県の会津張子のおひなさまと石川県の九谷焼きの豆雛が、今年新たに加わりました。会津張子は大河ドラマにあやかり人気だそうです。中でも有名なのが赤べこでしょう。1200年程前、会津柳津・福満虚空蔵尊圓蔵寺の建立の際、最後まで働き通したのが、赤色の牛と伝えられていて、その赤色の牛にあやかり、昔から子供の誕生には壮健を祈り、又疫病除としても贈られてきたそうです。その親しみのある顔となんだかおめでたい外観から、我が家でもお正月飾りにしていました。子供の壮健を祈る意味があるのなら、今年は五月の節句にも張子の虎と共に飾ろうと思います。
会津張子のおひなさまは『おぼこ人形』とも言うそうです。『おぼこ』とは世間ずれしていない、垢抜けてない、田舎臭いなどのニュアンスがあるそうですが、その外観は確かにもっさりしていて、洗練されていない、でも何とも言えない温かみがあってほっとする…そんなお顔をされています。大河ドラマもやがて「会津の悲劇」へと物語は展開していくでしょう。そして現在の福島県も「フクシマの悲劇」の舞台となってしまったのは本当に哀しいことです。私も来月福島県を訪れる予定です。行先は会津ではなく浜通りの方ですが、会津張子のように武骨な田舎者でも温かみのある福島の方々(…というと叱られそうですが)と交流を深めてまいりたいと思います。







前号住職レター一覧次号