住職レター H25年1月号

 昔々のある年の暮れのこと、神様が動物たちに、こんなお触れを出しました。「元日の朝、私のところに新年の挨拶に来なさい。一番から十二番目までが、順にそれぞれ一年の間、動物の大将にします。」
 動物たちは、自分こそが一番と、張り切って元日が来るのを待ちました。ところが猫は日にちを忘れてしまって、ねずみに訊くと、ねずみはわざと一日遅れの日を教えました。猫はそれを信じました。
 牛は歩くのが遅いので、夜のまだ暗いうちから出発しました。牛小屋の天井でそれを見ていたねずみは、ぽんと牛の背中に飛び乗り、牛が神様の御殿に付いたとたんに背中から飛び降り、一番になりました。それで牛は二番、それから虎、兎、龍、蛇、馬、羊、猿、鶏、犬、猪の順で着きました。猫は一日遅れて仲間に入れなかったので、今でもねずみを恨んで、追い回すのだそうです。


 これが、広く伝わっている十二支の言い伝えです。
 子供の頃はただのおとぎ話と聞いていましたが、今になると、自分の人生はねずみか牛か、それとも猫か?真ん中あたりの馬くらいか…などと考えてみたりしませんか?
 子から辰までは成長の段階とされ、巳年からは発展の段階へと進むといわれています。そして今年は癸巳の年です。癸(みずのと)とは、忍耐のなかにあって発展への時期を見計らっているという意味があります。また、蛇は脱皮することから再生を象徴しており、新しい自分に生まれ変わるという意味もあるのです。
 発展するのか?変革や再生に向けて一歩踏み出すべきか?それとも現状維持を善しとするか?
 混沌とした今の日本、そして自分自身の姿と重ね合わせて一年の計を考えました。







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