住職レター H24年9月号

 『暑さ寒さも彼岸まで』の諺どおりに猛暑もやわらぎ、朝夕は涼風を感じるようになりました。
 9月に入り、本堂の北側の廊下の張り替えと土壁塗りの工事を檀家でもある大工と左官のご兄弟の手により済ませました。雨風の入ってくる吹きさらしの暗い廊下も強風でポロポロ落ちてきていた土壁も、新しいサッシの入った快適で明るい廊下に生まれ変わりました。
 それに引き続いて南側の大規模な修繕工事が始まりました。本堂の南の入口は傾斜がひどく、ビー玉を置くと転がるような有様でした。その上、床も歩くたびにグラグラしていて気になっていました。このままでは、屋根の重みに耐えきれないだろうと、この度、護寺会のご尽力で修繕工事が行われることになったのです。
 考えてみれば築200年も超える木造建築です。人間と同じで老朽化すればガタもくるというものです。悪い箇所は外科手術も必要ですし、日々のメンテナンスも大切です。
 私たちが住まわせていただいている庫裏は十余年前にリフォームしていますが、建て直しではなく、古民家再生という方法を選びました。今は亡き母の希望で、まだ使える建具は徹底的に使っていますので、風呂の引き戸は、昔ながらのガラスの引き戸をペンキで塗ったものだったり、柱には兄の友人が書いた古い落書きがそのままだったりしますが、それはそれで味わいがあって楽しいものです。黒々とした柱や太い梁は趣がありますし、ここに暮らした先祖や歴住方の歴史を感じることができます。高い天井は掃除がしにくいし、時々ススがふってきたりするのもご愛嬌かなと思いながら日々暮らしております。







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