住職レター H24年6月号

 5月下旬、東北の被災地に行かせていただきました。昨年、秋田在住の大学時代の友人と再会する機会があったのですが、その際に震災復興に向けて、西日本に住む自分たちに今、何かできることはないか?と相談したところ、まず友人たちが定期的に行っている行茶活動に合流して現地に行ってみないか?と誘ってもらったのがきっかけです。
 友人の住む寺のある秋田まで、新幹線で7時間、活動現場である岩手県大槌町までは車で3時間の行程でした。途中、釜石の市街地を通りましたが、着実に復興に向かっている様子が見てとれました。
 しかし、隣町である大槌町では一転、まだまだ津波の爪痕が色濃く残り、海辺には大量の震災瓦礫がそのまま山となり、撤去されていない廃墟となった施設が当時のまま残されていました。
 生活の場を奪われて仮設住宅に住むことになった方々から、震災が起きて眼下に広がった生死の話や、復興に向けての現在に至るまでの種々な話を聞かせていただきました。映像や写真だけではうかがい知れない心に響くお話しでした。
 友人の活動も冬場は雪のため訪問ができなくなっていたそうですが、家族や友人を亡くしてずっと泣いておられた方々が、時間を経て笑顔を見せるまでのなっておられることに逆に力をもらい、なお一層の支援を…と語っていました。
 復興には5年、10年かかると聞いてはいましたが、被害の大きさや自治体によってはもっとかかるところもあるだろうと想像に難くありません。
 震災後は日本中が一つになって募金や支援物資を集めました。しかしあれから1年以上の年月が過ぎ、被害のなかった地域では当時の震撼や支援の気持ちが薄れてきたかも知れません。しかし、実際に被災地を目にしたことで、まだまだ長い目での支援が必要であることを改めて実感させられました。







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