住職レター H23年5月号

 津波にさらわれた町は瓦礫の山となりながら、それでもほんの少しずつ人々の生きる伊吹のようなものが芽生え始めています。しかし福島の怪物だけは今も静かに息をひそめていて予断を許しません。 怪物も最初から怪物だったわけではありません。従順に来る日も来る日も人間のために働いてくれていたのです。いったい誰があんな怪物にしてしまったのでしょうか?

 4月17日の日曜日、海徳寺十三詣法要が行われ子供たちが虚空蔵菩薩さまに智慧と福徳を授けていただきました。
 最初に一文字奉納写経をし、それぞれが自分の好きな一文字を書きました。子供たちが選んだ文字は「歩」「進」「絆」など、希望に溢れていて嬉しく思いました。それから虚空蔵菩薩真言を皆でお唱えし、ご祈祷を致しました。
 この未来ある子供たちがこのまま真っ直ぐに成長し、けして怪物にならないよう、大人は心して育てなくてはいけません。
 そしてこの美しい大地や空や海をそのまま、この子たちに残さなくてはなりません。子供たちが夢を語れる国を、世の中を、この美しい故郷、美しい日本を守り、この国の文化を伝えていくことは、最低限の私たち大人の義務なのです。






前号住職レター一覧次号