住職レター H23年3月号

 桃の節句です。海徳寺でも恒例の雛飾りをいたしております。手作りのお手玉雛や和紙の雛、木目込み人形、勝山産の漆黒の高田硯雛、博多のびいどろ、山口の大内塗、京都の北山杉、ちぎり絵や水彩画の色紙、年代物の掛け軸、版画、貝合わせ、更には幼稚園で子供が作ってきたものまで、年に一度、雛尽くしの贅沢を味わっています。

 当寺の参道や境内には色々な種類の紫陽花が植えられております。『紫陽花寺』にするのが夢だった亡き母が丹精したものですが、全国に数多く存在する有名無名の『紫陽花寺々』に比べると海徳寺がその冠をいただくには、まだまだ長い道のりである様です。それでもいつの日か母の悲願を叶えるべく毎年少しずつ株を増やしておりますが、昨年の猛暑で小さな株たちの多くは持ちこたえることができませんでした。
 その事をご存じの知人から、先日庭に丹精しておられた紫陽花を数本譲り受けました。そのお方は療養で暫く家を離れるため世話ができないからとのことでした。何とかみんなしっかりと根付いて欲しいと願いながら参道に植えました。今年の梅雨時期には元気に戻られて、ご自分が育てた紫陽花が場所を変え、咲き誇っている様子を見て来ていただきたいと祈るばかりです。




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