住職レター 令和6年12月号

 慌ただしく過ごしている間に12月はあっという間に過ぎていきました。12月はというより年々1年過ぎるのが早く感じる気がします。
 19世紀のフランスの哲学者・ポール・ジャネが発案した「ジャネーの法則」と呼ばれるものがあります。これは“主観的に記憶される年月の長さは年少者にはより長く、年長者にはより短く評価されるという現象を心理学的で解明したもの”だそうです。わかりやすく言えば50歳の人間にとって、1年の長さは人生の50分の1ですが、5歳の子供にとっては5分の1に相当するので、50歳の人間にとっての10年間は5歳の1年間に当たるということです。という事は、これから益々1年は早く過ぎていくのでしょう。
 12月には、お寺の行事が2つあります。一つ目は写経供養とお焚き上げ法要です。写経会のみなさまが1年間書きためた写経や、古いお札やお守り、白木のお位牌や、時には小さなお仏壇、千羽鶴などをお経をお唱えしながらお焚き上げをします。そしてその後はゆっくり精進料理を召し上がっていただきます。
 二つ目は大晦日の除夜の鐘です。境内ではドラム缶のたき火で暖を取りながら集まった皆さまで鐘をついてもらいます。そして新年になると大般若祈祷をします。大般若祈祷とは、お釈迦さまの説かれた教えの集大成である”大般若経600巻”を読み上げる代わりに、経題を読み上げ、経典を大きく開く作法で転読し、その功徳をもって仏さまに今年1年の天下泰平・五穀豊穣などを祈願すると共に、檀信徒のみなさまの無病息災を祈念します。転読の所作によって起きる風で諸願が成就すると言われる縁起の良い法要でもあります。海徳寺では、正月3日間の大般若祈祷を受けた大般若札を檀信徒の皆さまにお渡ししています。除夜の鐘では、近隣の大きなお寺さまのようにたくさんの人が集まるわけではありませんが、例年おでんや、温かい飲み物のお接待があります。どうぞ一度お参りください。
 世間では値上げが続き、闇バイトや強盗などの不安な事件が多発しています。世界を見れば戦争や貧困がやみません。異常気象で植物にも色々な影響が見られます。それでも頑張って咲いてくれた花に心をなぐさめられ、年末年始に懐かしい顔を見て笑顔になり、そこにある幸せに感謝をして過ごしていきたいものです。ご先祖さまに手を合わせて、お掃除をして心身を整えて歳神様をお迎えしましょう。 来る年が平和で穏やかであることを心より祈念しております。









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