住職レター 令和5年12月号

 師走は「師が走る」と書きますが、「師」とは僧侶を指すといわれます。この師走は語源の通り例年以上に走り回っておりました。法事や葬儀もとても多かったのですが、その合間に色々な行事がありました。
 毎年12月の第一月曜日は、写経供養とお焚き上げ法要を開催されます。今年も写経会員さまが1年間書きためた写経や、奉納写経、古い御札や塔婆、白木のお位牌などを読経の中、お焚き上げを行いました。その後は「今日の精進料理」に献立を載せておりますように、皆さまで精進料理を召し上がっていただきました。この日はいつもより少しだけ品数多く、抹茶と菓子までをお出しします。去年まではコロナ禍でお弁当を持ち帰って頂きましたので、久し振りに会食形式の写経供養となりました。
 今年の夏には、妻の母親が亡くなり、私と長男で葬儀をして見送ったのですが、その供養として建立したお地蔵さまが来られました。宮城県の石神彫刻工房で作られている「石んこ地蔵」というお地蔵さまで、鎌倉の紫陽花寺の長谷寺などの全国各地のお寺や、駒澤大学でも見ることができます。手彫りの何とも優しいお顔のお地蔵さまで、見ているだけで癒やされます。
また、横浜のお寺で働いている長男は、昨年まで修行していた大本山永平寺で瑞世登拝をさせていただきました。瑞世(ずいせ)とは両本山において、その日の朝のお勤めの導師を務めることです。曹洞宗では、和尚になるために、得度(出家する事)安居(専門僧堂において修行をする)首座、法戦(問答)嗣法(師僧より法を嗣ぐ)などの段階を経る必要があり、いずれ長男に寺を任せようとしても、この資格を取得して両本山で瑞世をしなければ認められません。住職になるということは長い道のりなのです。いずれにしても本山で導師を務めるとなどということは多くの僧侶にとって一生に一度の経験です。関係者の全ての皆様に御礼申し上げます。
 年の瀬が近づき慌ただしくなる頃には、甥の結婚式がありました。コロナ禍の三年間は結婚式や披露宴は自粛傾向にありましたので、本当に久し振りの華燭の典で、多忙な中のとても幸せなひとときでした。









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