住職レター 令和4年9月号

 8月のお盆、施食会法要が終わるとすぐに、秋彼岸の準備が始まります。この夏から行動制限が無くなったことに伴って、コロナ以前の様に普通にお参りするご寺院さまも増えたようです。様々なご意見をお聞きして、海徳寺では、岡山県内では感染者数の多い倉敷市にあることからも、今回も各家のご要望に添った形で行うこととしました。
 お盆もお彼岸も先祖供養ですが、お盆はサンスクリット語の「ウランバナ」が盂蘭盆会の語源となっているように、古代インドから始まっていると言われます。それに対してお彼岸はインドや中国にはみられない日本独特の文化です。平安京を開いた桓武天皇が、早良親王の怨霊を鎮めるために、春分と秋分を中心とした七日間、昼夜問わず供養をおこなったのがお彼岸のはじまりとも伝えられています。
 欲や煩悩から解放された迷いのない世界を彼岸、反対に煩悩にあふれた我々の生きている世界を此岸と言います。春と秋のお彼岸と言うのは、昼夜の長さが同じで、ご先祖様のいる“彼岸”に我々のいる“此岸”から一番近くなる日であると言われています。仏教徒の多い国は日本以外にもたくさんありますが、お彼岸に先祖を偲んでお墓参りをするという風習は、日本にしかありません。「暑さ寒さも彼岸まで」と、季節の移り変わりを大事にする四季のあるこの国ならではなのでしょう。
 秋の花が境内のあちこちに咲いています。また、落ち葉が散り、栗や柿、銀杏なども実を付けて、それに伴う作務も増えます。曹洞宗の開祖である道元禅師は、日常的に行う作務の全てが坐禅と同じように修行だとお説きになりました。自然の恵みと共に暮らすことをありがたく日々過ごして参りたいと思います。
 お彼岸入りの前の土曜日に、妻と息子は鳥取県の清元院さまに、春秋お彼岸恒例の「お地蔵さま作り教室」に参加をしに行きました。大人気の教室だそうで、今回は2日間に分けて開かれました。倉吉市の窯元の先生のご指導で、形成までをして、それに彩色して焼き上がったものを届けてくださいます。見ているとほっこりする何とも可愛らしいお地蔵さまが5つ我が家にありますが、この度作ったもので7つになります。六地蔵を超えてしまいましたが、楽しみにしているらしく、まだまだ増えて行きそうです。







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