住職レター 令和4年10月号

 8月のお盆、9月のお彼岸と、寺院にとっては、一年間でも一番多忙な時期を終えて、10月からは、今まで中止になっていた県や全国的な行事が次々と再開し始めました。止まっていた時計が急に早送りしているかの様な慌ただしい日々です。人数制限や、オンライン併用などの感染対策をしていますが、直接人に会うのはやはり嬉しいものです。過去2年はご法事も家族だけなど数名の参加でされる常でしたが、最近は県外から帰省し参加される人も増え、人数が目に見えて多くなりました。直接会って顔を見て話す喜びをきっと誰もが感じていることでしょう。コロナ禍がなければ知り得なかった気づきです。
 10月1日に、私と長男の母校でもある駒澤大学岡山県支部の行事として「写経と精進料理の会」が海徳寺で開催されました。これまでも、毎月2回、お寺の行事として開催していますが、コロナ禍からはずっと、会食の形は取らず、精進弁当を持ちかえっていただいていました。今回は初めて会食ありの会ということで、感染対策をしながらの準備は大変でしたが、喜びの声をたくさんいただいて、とても嬉しく思いました。来年からは会食の形の精進料理もボチボチ始めていこうと思っていましたので、背中を押されたような気がします。
 さて、庭のシンボルツリーの切り株から私が彫った「きになる地蔵」に立派な屋根が付いたことは以前お知らせしましたが、この度寄進された方の名が彫られました。このお名前の方は故人様で、この方の妹さんが海徳寺の檀信徒さまで、兄の供養のために寄進されたものです。ぜひ兄の名前を記してほしいとの希望に添いました。ありがたいことです。このお兄様とは生前はつながりはなかったのですが、亡くなった後でこういう形でご縁ができるのも不思議なものです。
 ご縁といえば、先日初めて行った医院の玄関で、檀信徒さまの油絵に遭遇しました。絵を描かれる方だということは存じておりましたが、こんな形で出会うと驚きます。長男が小さい頃、境内で夏休みの宿題の絵を描いていた時、お墓参りに来られたこの方が、熱心に指導して下さったのを思い出しました。写真の絵は光が当たって上手く撮れていないのですが、心惹かれる素晴らしい油絵でした。こんな出会いの数々に感謝しながら、日々の仕事に精を出してまいります。







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