住職レター 令和4年3月号

 コロナ禍となり、三度目の春彼岸を迎えました。盆や彼岸が近くなる度に、今度こそ盆・彼岸まわりができるだろうか?壇信徒さまの元気なお顔を見ることができるだろうか?と期待しては裏切られています。今回もコロナの第6波の影響を受けてか、ご自宅の仏壇へのお参りよりも、お寺で住職が読み込む方法を選ばれる方が圧倒的に多い結果となりました。
 二男と二人で春彼岸の法要と読み込みを行いましたが、たまたまお墓参りに来ていた甥の娘たちが、興味津々で法要を見つめていました。可愛いギャラリーがいて、ご先祖さまも目を細めておられたことでしょう。 お寺の山門の両脇には、檀家さまがご寄進下さった「阿・吽のダルマさん」がおられます。コロナ禍になり、このダルマさんたちもマスクを着用されていましたが、少々色あせてきていました。お彼岸のある日、そのマスクが可愛い花柄に新調されていました。古いマスクはビニール袋に入れられ、お寺の玄関にそっと置かれておりました。どなたがご寄進して下さったのか名乗られなかったのでわかりませんが、ありがたいマスクのお布施をありがとうございました。
 彼岸明けの良く晴れた日、鳥取県琴浦町の清元院さまで開催された、蓮の植え替えボランティア「はすとも」に参加して参りました。清元院のご住職は私の大学の同級生なのですが、地方の過疎化が止まらず、お寺離れが進む中、人が集まるお寺を目指して様々な活動を積極的に行っておられます。私自身勉強になることが多いので、日頃から色々と相談に乗ってもらっています。私自身、蓮を育てるようになって数年が経ちますが、まだまだ知らなかったことが多くて、とても参考になりました。うちにない種類の蓮根をいくつかいただいたので、帰ってから、早速蓮鉢に植えました。「蓮は泥より出でて泥に染まらず」と言われるように、仏教の教えを象徴するような花です。きれいな水ではなく、むしろ泥水の養分を吸ってこそ、大輪の花が咲く、 その姿からお釈迦さまは、“泥(困難や悲しみ)があればこそ、そこから立ち上がったあとには清らかな大輪の花(人生)があるのだと説かれました。毎年泥をかき分けて、乾かないよう、傷つけないように植え替えを行い、適度に肥料を与え、水をかかさないなど手はかかりますが、咲いた花の清らかな美しさには、神々しささえ感じます。夏に花を咲かせるのが本当に楽しみです。
 3月下旬には、お寺の桜も開花しました。辛抱強く長い冬を越え、美しく咲きました。桜は古代から日本人にとても愛されてきた花です。こちらもしばらくは目を楽しませてくれそうです。







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