住職レター 令和4年2月号

立春が過ぎ、三寒四温の気候が移ろいやすい季節を迎えました。急に雪景色になったかと思えば、昼間は汗ばむような日もあります。朝晩の温度さも大きくて一日に何度も着替えをしたり、暖房を付けたり消したりしています。寄る年波と共に、体調を万全にするのに苦労しておりますが、それでも梅や福寿草などの花が咲き始めると、春の訪れを感じて嬉しくなります。
 今年も第二月曜日の写経会の日に併せて、「涅槃会法要」を執り行いました。お釈迦様がお亡くなりになった2月15日を「涅槃会」といい、お釈迦さまの最期の様子を描いた「涅槃図」をかけて、そのご遺徳をしのぶ法要が「涅槃会法要」です。
 お悟りを開かれたお釈迦さまはその後、45年にもわたり、人びとに教えを説く旅を続けられました。その間、多くの人びとがお釈迦さまの教えに導かれ、お弟子や信者となっていきました。その伝道の旅の最期の地となったのは、クシナガラという所でした。いよいよ自分の死が近いことを察したお釈迦さまは、弟子たちにこう説かれました。
 「私の亡きあとは、私ではなく自分自身をより所として、また私が伝えた教えを、闇を照らすともしびとして、歩んでゆきなさい」 お釈迦さまは個人崇拝の対象となることを否定され、弟子一人ひとりが確かに、自立して進むことを求めたのでした。
 そして「もろもろの存在は変わりゆく。怠らず精進しなさい。」という最期の言葉を残し、静かに息をひきとったのでした。(以上 曹洞宗公式サイト 曹洞禅ネットより)

 所用で外出していた私に代わって、長男が法要をつとめました。岡山県がまん延防止重点地域となってから、職場の指示や、感染防止のために写経会にご参加される方も少なくなっていますが、少人数であっても、今年も涅槃会法要ができたのはありがたいことです。
 お寺の行事は不要不急なのか?と問われることもあります。確かに法要などは、ライフラインに関わる用事ではないのかも知れません。コロナ禍の2年間、オンラインの活用や感染を避けながらの布教など、僧侶たちも手探りで活動してきました。そして自分たちなりに、宗教者としての歩み方を考える時間をいただいたのだと思っています。壇信徒さまの信仰の根本にある、仏への祈り、ご先祖さまへの供養のお手伝いを今後もして行けるように精進したいと思います。







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