住職レター 令和4年12月号

 ついに令和4年も終わりになりました。3年前に始まったコロナ禍も形を変えながらも終息を迎えないままになりそうです。その中で、今年は1年間休むことなく、写経会を続けられたことに感謝です。例年通り12月の第一月曜日には、写経供養とお焚き上げ法要を行いました。写経会員のみなさまも全員参加されました。写経会員さんたちが、一年間書き溜めた写経用紙に加え、檀信徒さま方が持って来られた古い大般若経札やお守り、白木のお位牌、小さいお仏壇なども焚き上げました。
 お焚き上げとは、読経を捧げて品物を浄化、感謝して供養することですが、インターネットの世界では悲しい出来事を仲間と共有してスッキリすることを「お焚き上げ」と呼ぶようです。写経体験や坐禅体験をされた方々が口々に「何だかスッキリしました」とおっしゃいます。供養の心は浄化の心と通じているのだろうと思います。
 写経供養が終わると、お寺は一気に年末年始の用事に取り掛かります。すす払いや、大掃除をして寺の内外を清め、除夜の鐘や年始の準備を始めます。その合間にも葬儀や急用が入り、言葉とおりの師走となります。冬の山や畑の恵の柚子や大根、蕪などで保存食も作っています。
 慌ただしい日々に追われていても、時々は気晴らしもしています。先日は久しぶりに映画館を訪れ、「土を喰らう十二ケ月」を観てまいりました。この映画は作家の水上勉さんが自身の体験を元に書いた料理エッセイ「土を喰う日々 わが精進十二カ月」を原案に撮られた映画です。この本は愛読書でもあり、楽しみに視聴しました。特にこれといった大きなドラマが繰り広げられる訳ではないのですが、季節の移り変わりを、料理を通して丁寧見せていて、一日一日をきちんと手をかけて過ごしていくことの大切さが描かれていました。また、日本の山間部の四季の美しい景色も目を楽しませてくれました。
 年末年始はことに食生活が乱れがちです。家族や仲間でご馳走をいただくことも、もちろんハレの日の楽しみですが、3が日過ぎるあたりからは、その土地で採れた食物で、丁寧に素材をいかした料理を作ることを意識して、胃腸を休ませたいと思います。







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