住職レター H26年9月号

 お彼岸が来るのに合わせるように、今年も彼岸花が咲きました。お寺に咲くのは白い彼岸花です。寺のまわりの畑の畔には赤い彼岸花が咲いています。私はこの花が持つ独特の風情が好きで、少し貰って境内に咲かせたらいいだろうな?と思ったのですが、彼岸花は畔の土止めになっているのだそうです。モグラやネズミの被害から畑を守るのです。ちゃんと意味があって植えているものなので、たくさん咲いているのを見かけたからと、勝手に掘って行ったりしてはいけません。
 ただ彼岸花は嫌う方も多いようで、同じお坊さんでも『寺に咲かせたい派』と『縁起が悪いからだ嫌だ派』とに分かれるのが面白いところです。
 彼岸花の名所と言われる奈良のお寺で、鹿やイノシシが球根を食べてしまうという被害にあっているそうです。この夏に訪れた紫陽花寺も同様の被害に遭われていました。寺が駆除を声高に叫ぶわけにもまいりません。寂しいことですが、彼岸花寺や紫陽花寺も諸行無常なのでしょう。
 公園や街路樹としてイチョウが植えてあるのもよく見かけます。昔はお寺やお宮にしかなかったそうですが、俗説によると、イチョウは位の高い木なので、一般家庭に植えたりすると不吉なことがあると言われるそうです。一方、母親が母乳がでるようにとの祈願木であったり、虫歯の痛み止めや咳止め、虫除けなどの効用も言われます。
 お寺の大イチョウも実を落とし始めました。大きくなりすぎてバッサリと切った栗の木もそこそこの実をつけてくれました。自然との共生はいつの時代も難しいものですが、今年の恵みに感謝です。





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