住職レター H24年1月号

 新しい年を迎えました。
 たくさんの尊い命が震災のために犠牲になり、日本中が喪に服しているかのようなこの年の始まりに「おめでとう」を口にするのが不謹慎ではないかと迷った新年でありました。
 今年は辰年です。辰は昇り竜、竜は天に昇るとされていることから、願いを込めて「上昇の年」になるといわれます。縁起を担いだわけではないでしょうが、新幹線開通や東京オリンピック開催(1964年)、青函トンネルや瀬戸大橋の開通、東京ドームの落成(88年)などが辰年にあたります。また、今年は東京スカイツリーが完成予定です。
 「辰」という漢字は、はまぐり貝の蜃の原字であり、二枚貝が開いて殻から脚を出して運動している形を描いた象形文字です。また、辰は振であるとされ、万物が振動し、草木の形が整って活力が旺盛になった状態を表すと解釈されます。今まで内に閉ざされ、紆余曲折していたものが活発化し、善悪の色々な問題が外に出てくるという意味だそうです。
 内に溜まった毒を吐ききり、平穏を取り戻し、更に天高く上昇するために尽力する…そんな国に、そんな年になって欲しいものです。
 年末の除夜の鐘と大般若祈祷、年頭受け、お札配り、七草、松の内が過ぎ、…そうこうしている内に一月も終わりそうです。諺にあるように一月は行く、二月は逃げる、三月は去る…その行き方も年々スピードアップしていく気がします。一日一日を当たり前に丁寧に生きることをこころがけ、有限の時間を大切にしたいと思います。




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