住職レター H22年2月号

 立春を迎え、自坊にも蝋梅や水仙が可憐な姿を見せてくれています。これから暖かくなるにつれ、白梅、紅梅、白蓮、桜、花桃…と、順に目を楽しませてくれることでしょう。花に誘われたのでしょうか、メジロも姿を現しました。
日本の四季は本当に美しいものです。特に春の訪れは幸せな気分をもたらします。環境破壊や地球温暖化の影響で、生態系も変化を見せておりますが、この季節の移り変わりの素晴しさが永に伝わることを願って止みません。

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 2月15日は涅槃会(ねはんえ)です。お釈迦様が亡くなられたことを「涅槃」といいますが、元々、涅槃とはサンスクリット語の「ニルバーナ」(炎を吹き消すの意味)という言葉からきており、煩悩の炎を吹き消して心穏やかに永遠の安らぎを得られたという意味があります。心の障害、心の汚れ、貪り、怒り、愚痴などを消滅することにより「涅槃」へと近づきます。心が本来の自由を獲得した状態が「涅槃」です。
海徳寺でも2月中は本堂に大きな涅槃図を飾っております。どなたでもご覧になれますので、お声を掛けて下さい。
−自らを灯りとし、自らを拠り所とせよ。法を灯りとし、法を拠り所とせよ。他を拠り所とすることなかれ−
 これが、お釈迦様がお弟子たちに最後に残された言葉です。
 世の中の流れに影響されず、正しい道を進むことは並大抵ではありません。涅槃図を前に自らを省みております。


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