住職レター 令和5年2月号

 2月は逃げると言われますが、単に日数が短いからというだけではなく、多忙な毎日が続いてあっという間に過ぎて行くようです。
 節分に行う豆まきは、季節の変わり目に起こりがちな病気や災害を鬼に見立て、それを追い払う儀式です。豆まきをして立春を迎えたらすぐに、本堂に涅槃図を飾ります。涅槃会とは、お釈迦さまがお亡くなりになられた(入滅)2月15日に、そのご遺徳を偲び、報恩感謝をする法要です。
 涅槃(ねはん)とは、智慧を磨き修行を積んで、迷いや煩悩や執着を断ち切り、悟りに到達して、いっさいの苦・束縛・輪廻から解放された最高の境地のことです。「涅槃」という言葉の由来はインドの「吹き消すこと」という言葉からきていて、「一切の煩悩を吹き消すさま」を表しています。お釈迦さまは35歳の時にお悟りをひらかれ、その後の人生は村から村へと布教の旅をずっと続けられました。写経会の始まる前に、皆で涅槃図の前でお経をお唱えして、お釈迦さまのご遺徳に心をはせました。お釈迦さまがお亡くなりになる前の最後の言葉は「この世に変わらないものは何もない、皆怠らずに精進しなさい」だったと言われます。
 2月半ばには、まだ雪の残る永平寺に、修行を終えて山を下りる長男の迎えに参りました。修行に上がる前は緊張して強ばった表情をしておりましたが、この度は無事に修行を終えてきた安堵と、下りて来られる嬉しさ溢れる顔をしておりました。これからもまだまだ僧侶として勉強の日々ですが、お釈迦さまの教えを次の世に繋いでゆく者として、心を引き締めて頑張って欲しいと願います。
 寺の玄関には、おひな様が所狭しと飾られています。寒さ厳しい冬を越えて、花たちも芽吹きはじめました。「冬来りなば春遠からじ」とは、つらい時期を耐え抜けば、幸せな時期は必ず来るという例えでもありますが、長い冬を耐えて春はもうそこまで来ていることを日毎に感じています。







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