住職レター 令和7年4月号

 4月上旬に、曹洞宗第一教区婦人会の総会研修会が開催されました。
場所は岡山市中区門田屋敷の臨済宗妙心寺派の松琴寺さまです。無柳一参禅師が創建された禅寺で、境内には池田治政公が分祀した児島の瑜伽大権現があります。精進料理で有吊なお寺でもあり予約もなかなか取れないらしいのですが、第一教区婦人会の担当寺の景福寺さまが、岡山市仏教会での繋がりがあり、こちらでの総会と昼食会を手配してくださいました。海徳寺でも精進料理を出しておりますので、お料理の一品一品がとても興味深く、美味しくいただきました。特にこちらの吊物ともいえる椿の花の天ぷらは姿美しく、感心しました。境内のたくさんの椿を天ぷらにしてみて、一番発色よく揚がるものを数本選んでいるということでした。また、この日は作家の細見博子さんと川埜龍三さんの二人展「龗の宴(おかみのうたげ)《の期間中で、お寺の敷地内にはたくさんの作品が並んでいて目を楽しませてくれて芸術とお料理を堪能しました。
 研修会は場所を変え、天台宗常住寺で行われました。この寺は江戸時代に岡山藩主池田家の祈祷寺として岡山城内に創建され、この地に移築されるも一時期無住状態となり荒廃してしまっていました。このお寺を大正~昭和の時期住職として守っておられた天台宗の高僧、葉上照澄大阿闍梨の意思を後世につなごうと2015年「常住寺復興プロジェクト《が立ち上がりました。その際の代表役員代務者であり、天台宗岡山県宗務所長、倉敷市玉島黒崎の本性院ご住職の永宗幸信師に、昨年の曹洞宗岡山県宗務所婦人会の総会研修会の講師をつとめていただき、復興プロジェクトのお話をしていただいたことがご縁で、今回の参拝となりました。たくさんの歴史や見どころのあるお寺ですが、何といっても圧巻なのが、昭雲工房(山田尚公• 山田直禾親子)作の「叩き彫佛《三千躰を安置する三千神佛安寶堂です。向かって左面に1000体と釈迦如来、正面に1000体と薬師如来、右面に1000体と阿弥陀如来が祭られていて、順に過去・現在・未来を表しているそうです。叩き彫の木端仏(こっぱ仏)は、ノミと金槌で作られたもので一つ一つが顔も姿勢も違っていて、見ていて飽きません。皆それぞれ、自分や誰かに似ているものや、好みの佛さまを探していました。春の暖かい日、とても良い研修をさせていただきました。
 4月の行事には「花まつり《があります。ペーパーフラワーで屋根を飾り付け、誕生佛さまの回りは、生花を並べて、花見堂を作りました。甘茶は今年も奈良県吉野の曹洞宗興大寺さまから吉野で作られたものが届きました。市販のものに比べとても味の濃い甘茶です。誕生仏さまに甘露の雨を注ぎ、お祝いの法要を行いました。
 境内に次々と春の花が咲き、急に暖かくなってまいりました。朝晩と昼の寒暖差がかなりありますので、体調に気をつけながら日々過ごしていきたいものです。









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